コロナによる損失で法人税の繰戻し還付が可能に!
新型コロナウイルス感染症による影響で、一定の損失が発生した場合や、感染症の拡大・発生を防止するための費用が生じた場合、「災害損失欠損金の繰戻し還付制度」を利用することにより、過去に納付した法人税の繰戻し還付を受けることができます。
これは、通常の青色欠損金の繰戻し還付制度とは異なり、大企業でも適用可能です。
災害損失欠損金の繰戻し還付制度の概要
災害のあった事業年度において災害損失欠損金が生じた場合に、その事業年度の前2年以内に開始したいずれかの事業年度(注1,2)の法人税額のうち、災害損失欠損金額に対応する部分について還付請求をすることができます。
(注1)一般的には、災害損失欠損金額が発生した年度の前事業年度、前々事業年度が繰戻し還付の対象(但し、青色申告法人でない場合は前1年以内開始事業年度のみ) (注2)災害のあった日から6か月を経過する日までに終了する中間期間において災害損失欠損金額が生じた場合には、期末まで待たずに還付請求をすることも可能
災害損失欠損金とは・・・
災害のあった事業年度の欠損金額のうち、災害により棚卸資産、固定資産または一定の繰延資産について生じた以下の損失の合計額をいいます。(但し、保険金、損害賠償金等により補填されるものを除く)
① 資滅失等により生じた損失
② 被害資産の原状回復のための費用等に係る損失
③ 被害の産の拡大・発生の防止のための費用に係る損失
還付金額の計算方法
適用例
留意点
新型コロナウイルスによる影響で生じたすべての損失が災害損失欠損金とならない点に注意が必要です。
災害損失欠損金に該当するもの(例)
- 飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
- 感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
- 施設や備品などを消毒するために支出した費用
- 感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
- イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損
災害損失欠損金に該当しないもの(例)
- 客足が減少したことによる売上げ減少額
- 休業期間中に支払う人件費
- イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料
コロナ禍に関連する損失・費用のうち、繰戻し還付の対象となるものを特定し、集計するステップが必要です。
通常の「青色欠損金の繰戻し還付制度」は、資本金10億円以下の法人まで適用可能に
上記「災害損失欠損金の繰戻し還付」とは別に、通常の青色欠損金の繰戻し還付制度については、資本金1億円以下の中小企業者等にのみ認められていましたが、この度の新型コロナ税特法により、資本金10億円以下の法人まで適用範囲が広げられました。
この特例は時限措置であり、令和4年1月31日までに終了する事業年度に生じた欠損金について適用されます。